生物を退化させるウイルス!バイオSF小説『エレクトス・ウイルス』レビュー!書評

こんにちは、武藤遼です。

今回は、僕が読んだSF小説のレビューをしていきたいと思います。

今日買って、早速読み始めたのですが、
もう面白くて一気読み

読み出したら止まらなくて、あっという間に読んでしまいました。

というわけで、レビューしていきます。

『エレクトス・ウイルス』

今回読んだ本はこちら。

『エレクトス・ウイルス』という本です。

これは、エレクトス・ウイルスという架空のウイルスをテーマとしたバイオSF小説となっています。

ウイルスに対して人々の関心が集まっているところを狙って、発売されたようですね。

この本はフランスで出た本で、2018年に出版された本らしいです。

「エレクトス・ウイルス」とは、生物を退化させるウイルスのことです。

このウイルスに感染すると、その生物は進化の起源となった動物まで退化してしまう。
つまり、数百万年前、数千年前に生息していた生物へと変貌を遂げてしまうのです。

なぜこの本を買ったのか

どうして僕がこの本を買ったかというと、
「生物を退化させるウイルス」という発想が今までにない発想だなと思ったからです。

僕はSF小説が好きで、昔から結構読んでいます。

SF小説の何がいいかというと、
普通に生活しているだけでは気づけない発想や視点を与えてくれることです。

SF小説というのは、
現実の世界に対して、1つまたは複数の設定を変更することで、
どのように世界は変化するのかということを思考するストーリーです。

この現実世界の設定を1つまたは複数を変更するというのがミソで
これによって、僕たちが普段経験できないような新しい発想ができるようになるんですね。

こういった新たな視点の獲得というのが、
SF小説の最大の魅力だと思っていて、そこから新たな気づきを得て、
視野を広げることが自分の成長につながるのだと思って読んでいます。

生物を瞬く間に退化させてしまうってすごい発想ですよね…
生物が退化した場合に世界や人類にどのような影響を与えるのか。

そう考えたとき、これは絶対面白いって思って速攻で本を買ってしまいました。

結果、めちゃくちゃ面白かったので大満足です。

本のあらすじ

本のあらすじを簡単に書くと、以下のような感じです。

古生物学者であるアンナ・ムニエ。

炎のような褐色の髪と緑の瞳を持つ彼女は、「トワイライト」のヒロインであるかのような類いまれな美しさを持つ女性だった。

彼女の美しさは、出会う男を次々と魅了していく。

「動物は進化の過程で退化を遂げることがあり、
その際に、遥か昔にその種が失った体の形状を固体として完全に取り戻すことがある」

進化の方向は一方向であるという生物界の定説を真っ向から否定した彼女は、
生物界を拒絶し、自らの考えを証明する証拠を発見するために発掘を続けていた。

そんな彼女のもとへ、WHOの職員とは思えないほど強烈な色気を放つ
ルーカス・カルヴァーリョが訪れ、南アフリカへ行ってほしいと彼女に頼む。

彼女が南アフリカで発見した事実が、
彼女を再び生物界へと引き戻し、人類に対するウイルスの脅威と戦うことになる。

生物を退化させるウイルス、「エレクトス・ウイルス」は、
次から次へと感染し、ついにヒトに対しても感染してしまう。

ヒトは感染し、「ホモ・エレクトス」へと退化する。
「エレクトス」は人間なのか??

パンデミックを恐れ人々はエレクトス狩りへと駆り立てられる中、
彼女は「ある事実」によってエレクトスを守る決意をする。

エレクトスと現生人類の運命はどうなるのか。

大雑把に書くと、こんな感じです。

アンナとルーカスの描写のところを見ると、
すごい情熱的な書き方がされていて、ここら辺はすごいフランスっぽいなと感じてしまいました。
ウイルスの脅威が迫っていても、きっちり恋愛要素は入ってくるあたりさすがフランス。
結構情熱的でした。

生物界を拒絶していたアンナが、
一躍世界の運命を担うことになったり、
はたまたエレクトスを救おうと国連で訴えたりなどど、ドラマチックな展開がたくさんありました。

気になった人はぜひ読んでみてください。
一気読みしますよ。

この本の面白かったところ

僕が読んでいて面白かったなと思ったところは、
退化させるウイルスが世界にどのような影響を与えるのかというところですね。

ウイルスなので、WHOが大騒ぎするのはわかる。
ヒトに感染したら大問題だってなりますからね。

しかし、WHO事務局長マーガレット・クリスティーは、
報告を受けFAO(国際連合機関農業機関)事務局長にも報告をするように指示します。

イタリアにいる国際連合食糧農業機関(FAO)事務局長のパブロ・アグネスに報告書を送ってちょうだい。このままでは、南アフリカ全体の経済が一瞬で崩れかねないわ。

この視点は僕には思いつかなかったなー

生物を退化させるっていうウイルスの問題が経済につながる??
どういうこと??

まだヒトへの感染が判明していない段階で、
WHOの事務局長はすでに南アフリカひいては世界の経済を心配しているのです。

このロジックわかりますか??

生物を退化させるウイルスがいるという報告を受けて、
すぐにFAOに報告を出せという指示を出すことができますか??

このロジックが気になった方はぜひこの本を読んでみてほしいなと思います。

なるほどな〜って僕はすごい納得させられました。
生物を退化させることが、人間社会に影響を及ぼすわけです。

たとえヒトに感染しなくても、
それは経済に甚大な影響を与えることがほぼ確実になるということです。

この視点はなかったので、
これだけでこの本を読んだ価値があったと思いました。

ウイルスとか地球外生命体とか、SFにも色々設定がありますが、
やっぱりそれが人類に対してどのような影響を及ぼすのか、
それによって人類がどんな反応を示すのかというところが、
僕はSFを読んでて一番興味深いし、面白いなと思うところです。

未知のものに触れた時の人類の対応・変化。

これを感じたり考えたりすることのできるSFが僕は大好きです。

今回の「エレクトス・ウイルス」もこれを学べたので、
僕としてはすごい満足できました。

気になったらぜひ読んでみてください

この本が気になった方は、ぜひ実際に手に取って読んでいただければと思います。

何でもかんでもネタバレするとつまらないので、
このウイルスに対する人々の反応というのをぜひご自身の目で確かめてほしいなと思います。

このウイルスは実際にヒトに感染して、
世界は大パニックになっていくのですが、
ここからはすごいB級映画感がただよってきます。

ゾンビ映画を見ているような感じですかね。

ちなみに僕が読んでいる本はこちらでも色々紹介しています。

おすすめの本

こんにちは、武藤遼です。今回は、僕が最近読んだ本をまとめていきます。誰得のコンテンツなんだって話ですけど、僕自身の備忘をかねて。それではいきます。 小説 「花のれん」 吉本興業をモデルにしている本 少し前にレビュー動画撮[…]

こちらも一気読みできる面白い本が揃っているのでぜひご覧ください。

今までにない新しい視点を得られる本に出会えるのは本当に貴重な機会だったので、
今回は本当に読んで良かったなと思っています。

またこういう新しい視点が得られる本を読んだら紹介したいと思います!

ちなみに

この話はSF小説ではあるのですが、作者によれば
作中に出てくる<クルーガー・ウイルス>を除いて、全て真実らしいです。

種が進化の過程を逆進しうるという仮説は、15年ほど前にすでに指摘されていて、
この現象は<逆進化>と呼ばれているらしいです。

進化の過程で失われた能力を、再び取り戻すことがある。
これは本当に起こっていることらしいですよ。

現に人間も、1500万年前に手の筋肉を失い、その後に取り戻したらしいです。

退化するなんてそんなまさかと思っていましたが、
逆進化というのが本当にあるのは驚きました。

人間がエレクトスに退化するかもしれないと想像するのもおかしいことではないだろうと作者は言っていますが、確かにその通りかもしれません。

実際に起こりうることなのかもしれないですね。

そう考えると、少しドキッとしました。

ぜひぜひ読んでみてください。
きっと楽しい読書の時間を過ごせると思います!

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