こんにちは、武藤遼です。
今回は、ちょっと真面目な記事を書いてみます。
僕が問題を真面目に解説したらどうなるかというやつです。
お試し的な感じ。
こいつは本当に教えられる人間なのかと疑っている人も多いと思うので。
かなり長いし、難しいしで読みにくいかもしれません。
実際に教えるときは、相手と喋って反応を見ながらできるのでもう少しわかりやすくなるはずです。
無理して読む必要はないので、
気が向いたときにでも読んでみてください。
使用する問題は平成29年予備試験の刑法です。
そのうちの甲の罪責を検討してみます。
導入
やるべきことは何か
問題を解くために絶対やらなければならないことは何か。
それは問いに答えることです。
問題文の冒頭には、このように書いてあります。
「以下の事例に基づき、甲及び乙の罪責について論じなさい。」
事例はこの後に続くものです。
つまり、問題作成者は問いに対する結論を一番に求めています。
問題作成者が一番に求めていることを疎かにしてはいけません。
過程はどうあれ、とにかく問いに対する結論は絶対に書かなくてはいけないことになります。
問いは何個か
本問の問いは何か。
問いは、「甲及び乙の罪責について論じなさい。」です。
甲と乙、2人の人間について、その罪責を検討することが求められています。
答案では、甲、乙それぞれの行為について犯罪の成立を検討していくことになるでしょう。
しかし、問われているのは犯罪の成否ではありません。
犯罪の成否ではなく、罪責が問われています。
本問における問いは2つ。
「甲の罪責」及び「乙の罪責」。この2つです。
答えるべきことは何か
問いに答えるためにしなければならないことは、問いに対する結論を出すことです。
本問において、考えられる結論としては、「甲はかかる罪責を負う。」あるいは「甲は罪責を負わない。」、このどちらかしかありません。
結論は必ず、このどちらかの文で終える必要があります。
本編
総説
検討
第1のブロックで論じるべきことを確認しましょう。
甲の罪責という結論を出すために必要なことは何か。
それは、事例中の甲の行為に対する犯罪の成否を検討することです。
つまり、本問では、事例中で問題となる甲の行為を選択し、その行為に対して犯罪の成否を検討していけばよいことになります。
事例において登場する人物は、必ずある目的に沿って行動しています。
登場人物は、自らの目的を達成するために行動しています。
そのため、目的を確定した上で、その者の行為を見ていけば、検討すべき事項を特定することができます。
本問における甲の目的は、Vを殺害することです。
甲は、Vを殺害するために、2つの行為を行なっています。
劇薬Xを注入したワインをV宅宛てに宅配便で送った行為と、乙に対し、VにB薬を6ml注射するよう指示した行為です。
前者の行為によっては、Vの死亡という結果は生じていません。
これに対し、後者の行為では、Vの死亡という結果が生じています。
つまり、前者の行為について殺人未遂罪(203条、199条)の検討を、後者の行為について殺人罪(199条)の成否を検討することになります。
第1のブロックで論じるべき内容は2つ。
殺人未遂罪の成否と殺人罪の成否の検討です。
構成の決定
論じるべき内容を決定したら、次はそれを論じるための構成を考える必要があります。
ここで決定されるナンバリングは、答案の大枠を構成するものであり、答案を完成させる上で非常に重要なものとなります。
まず、答えなければならない結論部分に対して、独立したナンバリングを与えます。
問題作成者が最も聞きたいことであり、こちらが最も伝えたい部分であるから、独立したナンバリングを与えて相手の目にとまるようにします。
次に、検討すべき犯罪に対してナンバリングを与えます。
甲の罪責という問いに答えるために必要なことは、甲の行為に対して成立する犯罪を特定することです。
本問において検討すべき行為は2つであり、それぞれ成否が問題となる犯罪は、殺人未遂罪と殺人罪になります。
そして、殺人罪と殺人未遂罪のそれぞれについて、その成否を検討します。
具体的には1のナンバリングで、殺人未遂罪の成否を、2のナンバリングで殺人罪の成否を検討することになります。
1、2のナンバリングで問題となる甲の行為の検討は終了するから、結論部分は3のナンバリングで論じることになります。
これにより、大枠のナンバリングが決定します。
殺人未遂罪
総説
検討
1のブロックで論じるべきことを確認しましょう。
刑法においては、条文上に規定されている構成要件を全て満たすことによって、その犯罪が成立します。
そのため、基本的には問題となる犯罪(条文)を指摘し、その構成要件を1つ1つ確認していけばよいです。
1のブロックでは、劇薬Xを注入したワインをV宅宛てに宅配便で送った行為に対して殺人未遂罪(203条、199条)の成否を検討します。
甲は、殺意を持って同行為を行なっているから、殺人罪の検討もありえます。
しかし、Vの死亡という結果が発生していない以上、殺人罪が成立しないことは明白であり、殺人未遂罪について検討することになるでしょう。
犯罪の成否の検討は、構成要件を1つ1つ確認することによって行われます。
該当することが明らかな構成要件に対しては淡々と当てはめればよく、該当するか微妙である構成要件に対しては、解釈を展開し、事実を当てはめていく必要があります。
殺人未遂罪(殺人罪)の構成要件は、「人を殺した」ことです。
犯罪の成否を検討するためには、構成要件該当性だけでなく、刑法の総論的体系を意識する必要があります。
犯罪の成否の検討は、構成要件、違法性、責任の順番に行われます。
基本は構成要件該当性を確認していく作業であり、事案に応じて必要的に違法性阻却事由や責任阻却事由の存否について検討していくことになります。
本問で検討すべき事項を確認します。
犯罪の成否を検討する際の基本は、構成要件を検討することであるから、「人を殺した」という構成要件について検討する必要があります。
また、本問では、違法性阻却事由や責任阻却事由を検討すべき事情はありません。
そのため、今回は構成要件のみを検討すればよいです。
構成要件は、客観的構成要件と主観的構成要件の2つがあります。
客観的構成要件は、実行行為、因果関係、結果の要素が含まれます。
主観的構成要件は、構成要件的故意のことを指します。
これらについて、問題となる点があるか検討していけばいいです。
今回は、8mlの劇薬Xを注入したことに対して実行行為性が、宅配便で送ったという行為に対して実行の着手時期が、それぞれ問題となります。
さらに、結果と故意についても指摘すべき事情があります。
これらについて、論じていくことになります。
構成の決定
1のナンバリングでは、検討すべき行為及び犯罪を提示することになります。
この段階では、行為と犯罪を提示するにとどめ、個々の検討は下位のナンバリングを展開して行うべきでしょう。
そのため、下位構成をどのようにすべきか決定する必要があります。
1のブロックで検討すべき行為及び犯罪は確定しています。
そして、検討すべき事項もすでに決定しています。
問題は、これらをどのようにして論じるかということです。
ナンバリングでは、レベルを揃えるべきです。
実行行為性と実行の着手時期、結果、そして故意は構成要件要素である限りにおいてそのレベルは同一ですから、ナンバリングのレベルは揃える必要があるでしょう。
そのため、(1)のナンバリングで実行行為性について、(2)のナンバリングで実行の着手時期について、(3)のナンバリングで結果について、(4)のナンバリングで故意についてそれぞれ論じることにします。
また、構成要件該当性を要素に分けて検討した以上、最後はそれを一つにまとめて、犯罪の成否の検討に対する結論を示す必要があります。
1のブロックで検討している事柄は、劇薬Xを注入したワインをV宅宛てに宅配便で送った行為に対して殺人未遂罪が成立するかです。
そのため、(5)のナンバリングで犯罪の成否に対する結論を示します。
これにより、1ブロックのナンバリングの下位構成が決定します。
実行行為性
検討
(1)のナンバリングでは、実行行為性を検討していくことになります。
劇薬Xの致死量は10mlであるが、甲はXを8mlしか注入していません。
致死量に満たない劇薬を注入したワインを送る行為によっては、Vを殺害することはできないのではないか。
これが、実行行為性の問題意識です。
実行行為とは、構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為をいいます。
つまり、Xを8ml注入したワインを送った行為に、Vの死亡という結果発生の現実的危険性があったかが問題となります。
構成の決定
(1)のナンバリングでは、実行行為性が認められるかということが問題となることを指摘します。
この検討については、詳細な検討が必要になるでしょう。
(1)のナンバリングでは、実行行為性の有無というトピックを提示するにとどめ、具体的内容は(1)のナンバリングの中で下位のナンバリングを展開して論じることにします。
下位のナンバリングをどのようにすべきか検討します。
問いに答える結論部分に独立したナンバリングを与えたのと同様に、実行行為性の有無に対する結論部分にも独立したナンバリングを与えるべきでしょう。
実行行為性の有無を判断するためには、その判断基準を導く必要があります。
判断基準を導くまでの抽象論を論証として、独立したナンバリングを与えます。
そして、本件において実行行為性が認められるかを具体的に検討する部分を当てはめとして、独立したナンバリングにします。
そうすると、アのナンバリングが論証、イのナンバリングがあてはめ、ウのナンバリングが結論となります。
これにより、実行行為性の検討についてのナンバリングが決定する。
実行の着手時期
検討
(2)のナンバリングでは、実行の着手時期を検討していくことになります。
甲は、劇薬Xの入ったワインを梱包し、V宅宛てに宅配便で送ったにすぎません。
宅配便で荷物を送るだけの行為によって、死の結果発生という危険が惹起されたのか。
これが実行行為の着手時期の問題意識です。
実行行為性と実行行為の着手時期の違いは何か。
これらは、構成要件的結果発生の危険性を抽象的に捉えるか具体的に捉えるかによって区別されます。
実行行為性は、その行為によって構成要件的結果発生の危険性を惹起できる可能性があるかということを問題にします。
これに対し、実行の着手時期は、その行為によって構成要件的結果発生の危険性が実際に惹起されたかを問題にしています。
危険性を惹起できる可能性の検討にとどまるか、実際にその危険が惹起されたかを問題にするかという違いです。
抽象的な危険の惹起と具体的な危険の惹起は、それぞれ分けて検討する必要があるでしょう。
問題意識が異なれば、指摘すべき事項も異なります。
実行行為性は、抽象的な結果発生の危険性を問題とするから、Vの特異な疾患という客観的事情を指摘する必要があります。
これに対し、実行の着手時期は、具体的な結果発生の危険性を問題とするから、宅配制度の確実性やVのワイン好き、劇薬Xについてのなお書きなどの事情を指摘する必要があるでしょう。
構成の決定
(2)のナンバリングでは、実行に着手したと認められるかが問題となることを指摘します。
この検討については、詳細な検討が必要になるでしょう。
(2)のナンバリングでは、実行の着手時期というトピックを提示するにとどめ、具体的内容は(2)のナンバリングの中で下位のナンバリングを展開して論じることにします。
下位のナンバリングをどのようにすべきか検討します。
問いに答える結論部分に独立したナンバリングを与えたのと同様に、実行の着手時期に対する結論部分にも独立したナンバリングを与えるべきです。
実行の着手時期を判断するためには、その判断基準を導く必要があります。
判断基準を導くまでの抽象論を論証として、独立したナンバリングを与えます。
そして、本件において実行に着手したと認められるかを具体的に検討する部分を当てはめとして、独立したナンバリングにします。
そうすると、アのナンバリングが論証、イのナンバリングがあてはめ、ウのナンバリングが結論となります。
これにより、実行の着手時期の検討についてのナンバリングが決定します。
結果未発生
(3)のナンバリングでは、結果が発生していないことを指摘することになります。
(1)と(2)はどちらも実行行為性の問題であり、死の結果発生の危険性を問題としていました。
実行行為の検討段階では、殺人罪と殺人未遂罪の区別はついていません。
結果の未発生を指摘することによって、両者は区別されることになります。
殺人罪と殺人未遂罪はどこで区別されるのでしょうか。
それは、死の結果が発生したか否かという点です。
人の死亡という結果発生の現実的危険性を有する行為が実行行為に該当するという点において、両犯罪に違いはありません。
両犯罪は、実行行為という点において共通しています。
両者は、死の結果が発生したかという結果の点において異なるにすぎません。
実行行為を検討するだけでは、両者を区別することはできないことになります。
結果未発生は、問題となる甲の行為を殺人未遂罪の成立へと方向づけるために指摘する事情です。
実行行為段階では、殺人罪か殺人未遂罪かの区別はつきません。
両者を区別するため、結果が発生していないという指摘は必ず必要となります。
成立を検討する犯罪を1つに絞るための決定的事情であるから、ここには独立したナンバリングを与える意味があるといえます。
大展開は不要であり、一言指摘するだけで十分な事柄であるが、その重要性は非常に大きいです。
実行行為性の段階で区別がつかないのなら、検討すべき犯罪は殺人罪と殺人未遂罪の2つを指摘しておくべきなのではないかと疑問を抱く人もいるかもしれません。
しかし、死という結果が発生していないのに殺人罪の成否を検討するのは筋違いであり、最初に提示する犯罪を殺人未遂罪に絞っても問題はないでしょう。
故意
(4)のナンバリングでは、構成要件的故意の有無について指摘することになります。
構成要件的故意とは、構成要件的結果発生の認識認容をいいます。
本来なら、別段指摘する必要はない事情だが、本問では、「Vを確実に殺害するため」という意味深な記述がなされています。
甲は、想定していた致死量(4ml)の2倍にあたる8mlの劇薬Xをワインに注入しています。
これは、まさに故意を認定してほしいがための記述であるといえるでしょう。
一言触れておくのが丁寧です。
結論
(5)のナンバリングでは、犯罪の成否についての検討結果を述べることになります。
1のブロックの問いは、劇薬Xを注入したワインをV宅宛てに宅配便で送った行為に対して殺人未遂罪が成立するかということであるから、これに対する結論を示すことになります。
「上記行為に殺人未遂罪が成立する。」または「上記行為に殺人未遂罪は成立しない。」。
結論としてはこのいずれかになるでしょう。
殺人罪
総説
検討
2のブロックでは、VにB薬を6ml注射するよう指示した行為に対して殺人罪(199条)の成否を検討します。
今回も、違法性阻却事由や責任阻却事由を検討すべき事情はありません。
そのため、殺人未遂罪の場合と同様に、構成要件のみを検討すればよいです。
今回は、B薬を6ml注射するよう指示したことに対して実行行為性が、Bが3ミリしか注射できなかったという事情に対して因果関係が、それぞれ問題となります。
さらに、結果と故意についても指摘すべき事情があります。
これらについて、論じていくことになります。
構成の決定
2のナンバリングでは、検討すべき行為及び犯罪を提示することになります。
この段階では、行為と犯罪を提示するにとどめ、個々の検討は下位のナンバリングを展開して行うべきでしょう。
そのため、下位構成をどのようにすべきか決定する必要があります。
2のブロックで検討すべき行為及び犯罪は確定しています。
そして、検討すべき事項もすでに決定しています。
問題は、これらをどのようにして論じるかということです。
ナンバリングでは、レベルを揃えるべきです。
実行行為性と結果、因果関係、そして故意は構成要件要素である限りにおいてそのレベルは同一であるから、ナンバリングのレベルは揃える必要があります。
そのため、(1)のナンバリングで実行行為性について、(2)のナンバリングで結果について、(3)のナンバリングで因果関係について、(4)のナンバリングで故意についてそれぞれ論じることにします。
また、構成要件該当性を要素に分けて検討した以上、最後はそれを一つにまとめて、犯罪の成否の検討に対する結論を示す必要があります。
2のブロックで検討している事柄は、VにB薬を6ml注射するよう指示した行為に対して殺人罪が成立するかです。
そのため、(5)のナンバリングで犯罪の成否に対する結論を示します。
これにより、2ブロックのナンバリングの下位構成が決定します。
実行行為性
検討
(1)のナンバリングでは、実行行為性を検討していくことになります。
甲は、乙に対しVに注射をするよう指示しただけです。
他人に指示するだけの行為のよっては、Vを殺害することはできないのではないか。
これが、実行行為性の問題意識になります。
乙に注射を指示しただけの行為に、Vの死亡という結果発生の現実的危険性があったかが問題となります。
他人を利用する行為であっても、構成要件的結果発生の危険性を惹起することは可能であるから、一定の要件を満たした場合に実行行為性を認めると考える人が多いと思います。
問題となるのは、乙に道具性が認められるかということです。
乙は甲から渡された容器に薬剤名の記載がないことに気づいたが、中身を確認せずにVに注射したという点について過失が認められます。
そのため、乙に業務上過失致死罪(211条前段)の規範的障害はあったことになるでしょう。
この事情との関係で、乙の道具性をどのように評価するかが実行行為性の具体的検討では重要になると思われます。
構成の決定
(1)のナンバリングでは、実行行為性が認められるかということが問題となることを指摘します。
この検討については、詳細な検討が必要になります。
(1)のナンバリングでは、実行行為性の有無というトピックを提示するにとどめ、具体的内容は(1)のナンバリングの中で下位のナンバリングを展開して論じるべきでしょう。
下位のナンバリングをどのようにすべきか検討します。
問いに答える結論部分に独立したナンバリングを与えたのと同様に、実行行為性の有無に対する結論部分にも独立したナンバリングを与えるべきでしょう。
実行行為性の有無を判断するためには、その判断基準を導く必要があります。
判断基準を導くまでの抽象論を論証として、独立したナンバリングを与えます。
そして、本件において実行行為性が認められるかを具体的に検討する部分を当てはめとして、独立したナンバリングにします。
そうすると、アのナンバリングが論証、イのナンバリングがあてはめ、ウのナンバリングが結論となります。
これにより、実行の着手時期の検討についてのナンバリングが決定します。
結果
(2)のナンバリングでは、結果が発生したことを指摘することになります。
殺人罪の検討では、人の死亡という結果が発生したことは明らかであり、わざわざ独立したナンバリングを設けてまで結果の発生を指摘する必要はないことが通常です。
しかし、今回は1の殺人未遂罪との対比を意識する必要があります。
殺人罪と殺人未遂罪の違いは結果発生の有無にあり、殺人未遂罪の検討をすでに行なっている以上、2のブロックでの問題となる甲の行為を殺人罪の成立へと方向づけるための事情を指摘しておきたいところです。
普段は独立したナンバリングを設けることはないが、1との違いを強調するために、今回は死の結果発生という事情に対して、独立したナンバリングを与えています。
因果関係
(3)のナンバリングでは、因果関係の有無について検討していくことになります。
甲は、乙に対しB薬を6ml注射するようにという指示を出しています。
しかし、実際にはVが痛がったことにより、3mlしか注射できていません。
致死量に至らない3mlの注射行為により、Vが死亡したといえるか。
これが因果関係の問題意識です。
因果関係の有無は問題にはなるが、下位展開は避けるべきでしょう。
本問は論じるべきことが多く、何でもかんでも解釈を展開していると時間も答案の分量も足りなくなります。
因果関係は問題にはなるが、その重要性は低いと考えられるから、事実を端的に規範に当てはめて因果関係の有無を検討する程度で十分です。
故意
(4)のナンバリングでは、構成要件的故意の有無について指摘することになります。
1の場合と同様に、こちらの甲の行為についても、「Vを確実に殺害するため」という意味深な記述がなされています。
甲は、Vの死亡という危険を発生させるに十分な量(3ml)の2倍にあたる6mlの劇薬Xをワインに注入しています。
ここについても、一言触れておくのが丁寧でしょう。
結論
(5)のナンバリングでは、犯罪の成否についての検討結果を述べることになります。
2のブロックの問いは、VにB薬を6ml注射するよう指示した行為に対して殺人罪が成立するかということであるから、これに対する結論を示すことになります。
「上記行為に殺人罪が成立する。」または「上記行為に殺人罪は成立しない。」。
結論としてはこのいずれかになるでしょう。
結論
問いに答える
3のナンバリングでは、問いに対する結論を示します。
殺人未遂罪と殺人罪についての成否を論じただけでは、問いに答えたことにはなりません。
答えるべきは甲の罪責であるから、最後は甲の罪責が何かを示さなければいけません。
問題となる甲の行為が2つあり1と2のナンバリングでそれぞれについて論じた以上、それらをまとめて問いに対する結論を出すために、3のナンバリングを用意する必要があります。
3のナンバリングでは、罪数について論じることになります。
複数の犯罪が成立した場合、罪数処理を行う必要があるから、多くの受験生は、罪数処理に独立したナンバリングを設けていると思います。
罪数処理自体には大した配点はないかもしれません。
しかし、罪数のブロック部分には、罪責を答えるという部分も含まれています。
問いに答えることは、もっとやらなければいけないことです。
罪数のナンバリング部分は、もっとも重要な要素が含まれている部分になります。
勝負の分かれ目
この問題のテーマは実行行為性です。
乙の罪責を検討する際に問題となる犯罪は検討すべき点がそれほど多くなく、淡々と文言に当てはめて処理すべきものが多いです。
問題の重点は、甲の罪責の検討にあるとみるべきでしょう。
そして、甲の罪責で検討した2つの犯罪では、いずれも実行行為性が問題となっています。
これらの事情から、この問題のテーマは実行行為性だと判断できます。
問題は全体を通して判断するものです。
今回は甲の罪責しか検討していませんが、現場では甲と乙の両方の罪責を検討することになります。
甲と乙の罪責について、それぞれ論じるべきことを確認し、どこにどれくらい答案の分量を避けるのか決定していくことになります。
闇雲に解釈を展開していては、答案がパンクしてしまいます。
詳細に論じるべきところは詳細に論じ、簡潔にすべきところは極力コンパクトに論じることを心がける必要があるでしょう。
このような判断を現場でできるかが、勝負の分かれ目となります。
終わりに
いかがだったでしょうか。
相当長いし、退屈だし、読むのに疲れたと思います。
ここまで読んでくださった方、本当にお疲れ様でした。
一応、真面目に解説するとこんな風になります。
文章だとなかなか伝えづらいところもあります。
真面目に問題を解説するのもたまにはいいかなと思って
やってみました。
何回か繰り返し読んでいただければと思います。
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こんにちは、武藤遼です。 新しいブログを作りました。大学在学中に司法試験に合格して自由を手に入れた男の物語 こちらは、司法試験用のブログになります。 前々から準備していましたが、ようやく公開できることになりました。 今後、司法試験に関する情[…]
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僕は大学1年生から勉強を始め、
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大学4年生で司法試験に合格しました。
予備試験に合格するまでで勉強はほぼ終えてしまい、
予備試験後から司法試験までは
プログラミングやビジネスを勉強し、
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信じられないかもしれません。
お前には才能があったんだろ?とも言われます。
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司法試験に合格する自信があったわけでもありません。
そんな僕でも自信を得ることができて
司法試験に合格することができました。
その後もいろいろなことに挑戦できています。
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初めまして、武藤遼です。 僕は今、予備校で大学受験や司法試験の受験指導をしています。 文系の最高峰の試験といわれる司法試験。法律家になるための登竜門です。 僕は、大学に入学した直後から司法試験の勉強を始め、大学3年生の時に予備試験に合[…]
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